オーストラリアの
教育制度
日本では文部科学省が全国の学校教育を管轄していますが、オーストラリアでは連邦政府が教育政策全般を統括し、各州に教育を担当する行政部を設置しています。そのため、初等・中等(小・中・高)、カレッジの教育制度は州によって異なります。オーストラリアでは、Year6(6年生)、Year12(12年生)というように、学年を“Year”と呼びます。
オーストラリアには、高校や高等教育機関で取得した単位や学位・資格が全国的に互換・認定できるAustralian Qualifications Framework(AQF)というシステムがあります。AQFによって、すでに取得した単位や学位、資格が希望する学校やコース、レベルに認定されれば、フレキシブルに編入学や進学ができます。
オーストラリアは留学生を受け入れる国として、ESOS法と呼ばれる国家法やCRICOS制度という教育機関の政府登録義務を設けています。留学生の受け入れと保護のために法律や義務を制定している国は世界的にも珍しく、この点からもオーストラリアが国を挙げて留学生を歓迎していることがうかがえます。
学年制度

人気の留学分野
数多くの日本人が留学しているオーストラリア。なかでも、オーストラリアが強みとしている以下のような分野をカレッジや大学などで学び、将来につなげている留学生が増えています。
観光学・ホスピタリティ
旅行先として絶大な人気を集めているオーストラリア。政府の主導によって観光学の研究開発プロジェクトが立ち上げられるなど、国をあげて観光学・ホスピタリティ分野の教育に力を入れています。講義のほか、専門家を招いての模擬実習、有名ホテルやレストランでの実地研修など、実際の現場で勉強する機会が数多くあります。観光・ホスピタリティ産業は世界各国に市場を持っており、日本においてもこの分野の専門知識とスキルを持った人材へのニーズが高まっています。
ビジネス
経済産業界の最新のニーズに対応したコースと即戦力育成型のプログラムが用意されているオーストラリアは、ビジネス留学をするにも最適な国。また、その地理的・社会的特性から、欧米だけでなくアジア地域のビジネス研究にも力を入れているため、日本人が国際的なビジネス・スキルを習得するには理想的です。専門性の高いコースの中には、ホテル、ファッション、音楽、スポーツをはじめ、ワイン・ビジネスなど、オーストラリアならではのコースも数多く提供されています。
IT関連
Google、Intel、Microsoft等の国際企業からも認めるIT分野を誇るオーストラリアは実践的なITスキルを持つ人材の育成に力を入れており、大学と企業が提携した技術拠点や施設が多数点在しています。学校の講師はIT業界の専門家であることも多いため最新の知識と実践的なスキルを身に着けることができます。また、ITセキュリティの専門家の需要も高くなっており、ニーズの高い日本での就職はもちろんオーストラリアでの就職にも重宝されるスキルとなっています。
環境学
地球温暖化や海洋汚染など、世界が抱えている環境問題について実践的な解決策を研究する「環境学」。オーストラリアは環境の保護意識が高く、1970年代からこの分野を取り上げています。近年では企業に対し、社会的責任という観点から環境問題に取り組むことが求められるようになり、環境コンサルティングなどへの需要が高まっています。また、先住民族との関係を重視しながら行う「自然・文化資源マネージメント」など、オーストラリアならではの環境学も発達しています。
教育学・日本語教育
オーストラリア政府は教育全般に重点を置いており、優れた教員の養成に力を注いでいます。実際の教育現場で長期間にわたって実践的な経験を積めるプログラムが組まれており、幼児教育から成人教育まで、幅広いレベルの教育資格を取得することが可能です。また、親日国であるオーストラリアでは、日本語教育が盛ん。初等・中等教育機関で日本語を教える場合は、教育学と人文学のBachelor Degree取得が条件。大学で日本語を教えるにはMasters Degree以上の学位が必要です。
国際関係学
「国際関係学」は、国際社会における国と国との相互理解を目指す学問です。多文化国家だからこそ、さまざまな価値観を知り、視野を広げる勉強に取り組める点で、この学問を学ぶのにオーストラリアは最適な国といえます。また、オーストラリアの立地がアジア諸国に近いことから、アジア太平洋圏に特化した外交、政治、経済など、さまざまな分野をまたいで学ぶことも可能です。将来、国際機関や外務省、NGO、メディアなど幅広いキャリアを目指す学生から人気の高い分野です。
看護師資格取得
オーストラリアは、世界でも有数の「医療・福祉先進国」として知られています。また、日本と同じ「高齢化社会」という課題を抱えるオーストラリアの高齢者ケア制度・技術は、国際的に高く評価されています。オーストラリアの教育機関では実践的な看護教育を行っており、臨床研修時間数は日本よりも平均25%ほど多い。オーストラリアの看護師は正看護師と准看護師に大別され、正看護師は大学・大学院、准看護師はカレッジのコース修了が必要です。日本を含む海外での看護師資格取得者の登録条件が異なるため注意してください。