【特集】link奨学生のオーストラリア留学レポート|Vol.5
今回は、研究室活動についてのレポートの続きをお届けします。
リスクの評価は研究室の環境だけに留まりません。
実験そのもののリスクアセスメント(RA)に関する考え方も予想を超えていました。
リスク評価と安全な実験の設計
実務的には、まず使用する試薬ごとにハザードの洗い出し(化学的リスク、生体的リスク、環境面へのリスク、電気・機械的リスク、人的要因など)を行い、実験中に起こり得る危険を漏れなく把握します。
このように事前に整理することで、実際に実験を行う際の安全対策を合理的かつ体系的に設計することを意識します。
特に生体的リスクに関しては、急性リスク・慢性リスクを区別して列挙することになっており、安全対策の優先順位や対応方法の違いを明確にします。
また、化学実験を行う際の安全衛生上のリスクは、RA内のHealth and Safety Matrixによって評価されていました。これによって、誰でもすぐに分かる判断基準ができ、安全性への意識を統一することができます。
研究室内のコミュニケーションも活発です
RAの書類が完成したら、まず研究室全体に共有します。
博士後期課程の学生を中心に積極的な議論が飛び交い、想定リスクに漏れがないか入念な確認が行われます。その意見を基に個人で修正し、アップデート版として再度研究室全体に共有します。
研究室単位での確認が終了すれば、教授の最終確認があります。
このように複数の段階を踏んで安全性と妥当性を確認し、最終的に教授からの承認が得られてはじめて、ひとつの反応実験を実施するに至るのです。
大きな学びを得ました
正直、私がこれまで行ってきたリスク評価は、個々の判断に委ねられた比較的簡素な確認作業に近く、1つの実験に対して1週間程度の時間をかけて検討することはありませんでした。
だからこそ、同じ実験という操作であっても、環境が変われば、どこに時間を割き、どの工程をより丁寧に扱うのかが大きく異なるということを肌で感じることができたのは、この研修期間の大きな収穫でした。
また、普段は実験を繰り返すにつれて当たり前になっていくであろう操作について、いま一度深く理解するための重要なプロセスを体験できたことも、非常に興味深い学びとなりました!
【Yukaさん | プロフィール】
返済不要・給付型【海外留学奨学金 “link”】の第2期奨学生。
オーストラリアのパースに留学中。渡航機関2025年2月~6月を予定。
